メインプログラム
MAIN PROGRAM
5月16日[土]─29日[金]
シアター・イメージフォーラム
EUフィルムデーズは、欧州連合(EU)加盟国の在日大使館や文化機関が選りすぐった作品を一挙上映するユニークな映画祭です。今年は、各国映画祭で注目を集めた近年の話題作や日本初公開作品を含む全26作品をラインナップ。さらに東京会期では、特別プログラムとしてEU加盟国が誇るクラシック作品を国立映画アーカイブにて上映します。現代の注目作から歴史に名を刻む名作まで、幅広いヨーロッパ映画の世界をお楽しみいただけます。それぞれのEU加盟国から生まれた新旧の映画を通して、欧州の多様な文化を体験する旅にどうぞお出かけください。
アイルランド
サナトリウム
Sanatorium

5/16 ㈯ 12:00
5/21 ㈭ 12:00
日本初公開
監督:ガー・オルーク/2025/アイルランド、ウクライナ、フランス/90分/日英字幕
オスカーのアイルランド代表。ウクライナの美しくノスタルジックな夏の保養所に去来する人々の営みを、慈しみ深い視線で記録した秀作ドキュメンタリー
黒海北部沿岸、オデーサ近郊の塩湖に面するソ連時代に建てられた保養所。癒しと健康を求め、あるいは愛や出会いを探しに、各地から人々が集う。時が止まったような楽園で、レトロフューチャーな機器や塩湖が産む泥炭に、気持ちよく身を任せまどろむ。しかし時折けたたましく鳴り響く空襲警報が、彼らを否応ない現実と不安な未来に連れ戻す。ひととき傷を治療して、戦場へと戻っていく兵士の姿が、のどかな美しい風景の対比となり容赦なく押し寄せる時代の無常を描出する。
イタリア
墓泥棒と失われた女神
La Chimera

5/25 ㈪ 14:15
5/28 ㈭ 16:30
監督:アリーチェ・ロルヴァケル/2023/イタリア、フランス、スイス/131分/日本語字幕のみ
ギリシャ神話の悲劇のラブストーリーをモチーフにした《幻キメラ想》を追い求める墓泥棒たちの数奇な物語
1980年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。紀元前に繁栄した古代エトルリア人の墓を発見できる特殊能力をもつ考古学愛好家のアーサー。墓泥棒の仲間たちと掘り出した埋葬品を売りさばいては日銭を稼いでいる。ある日、希少な価値を持つ美しい女神像を発見したことで、闇のアート市場をも巻き込んだ騒動に発展していく。監督は『夏をゆく人々』(15)、『幸福なラザロ』(19)で注目を浴びたアリーチェ・ロルヴァケル。
エストニア
エストニアの聖なるカンフーマスター
Nähtamatu võitlus / The Invisible Fight

5/19 ㈫ 14:15
5/22 ㈮ 16:30
監督:ライナル・サルネット/2023/エストニア、フィンランド、ラトビア、ギリシャ、日本ほか/115分/日本語字幕のみ
奇才ライナル・サルネットが放つカンフー×ブラック・サバス=ポップで奇想天外な青春フュージョンコメディ
国境警備の任に就く青年ラファエルの前に、3人のカンフーの達人が現れる。革ジャンに身を包み、ラジカセでメタルを鳴らしながら宙を舞う彼らの前に警備隊は壊滅状態に。奇跡的生還を果たしたラファエルは、その日以降禁じられたカルチャーであるブラック・サバスの音楽やカンフーに熱狂するようになる。しかし見様見真似のカンフーでは気になった女性一人も射止めることができない。空回りの冴えない日々を送るラファエルは、ある時偶然通りかかった山奥の修道院で衝撃の出逢いを果たす。それは、見たことのないカンフーを扱う僧侶たちだった!
オーストリア
この子は誰
Mother’s Baby

5/16 ㈯ 18:45
5/22 ㈮ 12:00
日本初公開
監督:ヨハンナ・モーダー/2025/オーストリア/107分/日英字幕
この子は本当に私の子? 歪かつ鋭利な筆致で描く「母であること」への重圧
指揮者として成功しているユリアは40歳を迎え、パートナーのゲオルクとともに子どもを強く望んでいた。そんな中、不妊治療医フィルフォルトが2人に希望を与える。治療は成功しユリアは妊娠するが、出産は予定どおりに進まず、赤ん坊はすぐに連れ去られてしまい、何が起きたのかユリアには知らされない。ようやく我が子と再会したとき、ユリアはその赤ん坊に強い違和感と距離を感じる。母であることの重圧、身体の変化に対する不安、社会の期待への反発といった視点を鋭く描出しつつ、愛と恐怖が表裏一体となる瞬間を緊張感あふれる演出で映し出した2025年ベルリン映画祭コンペティション出品作。
オランダ
心をつないで 思いを紡いで
Iedereen is van de wereld / Live For Me

5/18 ㈪ 14:15
5/21 ㈭ 18:45
日本初公開
監督:マーク・デ・クルー/2025/オランダ/94分/日英字幕
「私のために生きて─」青春の真っ只中、親友同士の2人の少女の運命が交錯する
14歳のアリとザーラは親友同士。ザーラはアフガニスタンからの難民。やがてアリのがんが末期であることが明らかになる。一方、ザーラはアフガニスタンへの帰国を迫られる。友情の深さを示す行動として、ザーラがオランダに残れるよう大臣に助けを求める。「私はもうすぐ死ぬ。どうか、代わりに彼女をここにいさせてください」 果たして彼女の訴えは届くのか─。深刻なテーマを、若さあふれるキャストによって爽やかに描いた、実話に基づく成長の物語。
キプロス
スマラグダ
Σμαράγδα / Smaragda - I Got Thick Skin and I Can't Jump

5/17 ㈰ 12:00
5/21 ㈭ 16:30
日本初公開
監督:エミリオス・アヴラーム/2024/キプロス/99分/日本語字幕のみ
中年の危機という名の亡霊。それでも、もがきながら生きていく
かつて子ども向け番組の司会者だったスマラグダは、キプロスの小さな観光地にある亡き母の家へ移り住み、母の盲導犬と共に暮らしている。実りのない人間関係や、母の進行性眼疾患を受け継ぐかもしれない不安のなかで、自分が何を遺せるのか思い悩む。テレビ業界への復帰を目指すも拒まれ、SNSの世界に足を踏み入れては、束の間の注目と反発に翻弄される。経済的にも追い詰められ、観光リゾートで働き始めるが…。様々な不安や挫折に直面しながらも、やがてスマラグダは友人たちの支えと自身のしなやかな強さを手がかりに、自らの存在と向き合っていく。
ギリシャ
マーダレス
Hφόνισσα / The Murderess

5/17 ㈰ 18:45
5/20 ㈬ 14:15
日本初公開
監督:エヴァ・ナテナ/2023/ギリシャ/95分/日英字幕
過酷な運命から少女たちを「救う」ため─踏み越えてしまった禁断の境界
20世紀初頭、ギリシャの孤島。薬草師として島の人々を助けるハドゥーラは、女性が貧困や家父長制度の重圧に縛られて生きる社会を長年見続けてきた。娘や孫の世代まで続くその苦しみを思ううち、彼女の心にはある考えが芽生える。少女たちが同じ運命を背負う前に、自分が解放してやればいいのではないか─。やがて彼女は、神の意志だと信じながら取り返しのつかない行為へと踏み込んでいく。因習と信仰が絡み合う社会のなかで起きた悲劇を、重厚かつ静謐に描き出した衝撃作。原作はアレクサンドロス・パパディアマンティスによる『女殺人者』。
クロアチア
ドリームオン/ドリームオフ
Dream On / Dream Off

5/26 ㈫ 14:15
5/29 ㈮ 16:30
日本初公開
監督:ダリボル・バリッチ/2025/クロアチア/64分/日本語字幕のみ
めくるめく夢の迷宮へ─クロアチアより、全編AIで制作された長編映画が到着!
ある日ポーラは夢を見なくなった。彼女はドリーム・エージェンシーでその原因を探るが、返答はいずれもしっくりこない。最先端のシステムが彼女の夢を再構築し始めるとともに、彼女は自分自身もまた作り替えられているように感じる。もしかするとポーラは、最初から夢を見ていなかったのか、それとも彼女自身が夢だったのか?全編AIにより構成された実写/アニメーションのコラージュが、夢と現実、記憶と幻想とが交錯する迷宮的世界を作り出す。観客に解釈の余白を与える、最先端の映像芸術を駆使した挑戦的な作品。
スウェーデン
ハマーショルド 平和への闘志
Hammarskjöld

5/25 ㈪ 16:30
5/29 ㈮ 18:45
日本初公開
監督:ペール・フリュー/2023/スウェーデン/114分/日英字幕
歴史的悲劇の背後にある、責務と内省の軌跡
1961年、国連事務総長ダグ・ハマーショルドは任期最後の一年を迎えていた。冷戦は緊張の頂点に達し、独立直後のコンゴ民主共和国は内戦と分断の渦中にあった。植民地時代が残した混乱のなかでの平和構築は、誰もが不可能と口にする難題だった。彼はその使命を一身に背負うが、強い反発を招き情勢は緊迫していく。一方で親友との再会を機に、置き去りにしてきた人生に向き合う。職務と内面に葛藤し、政治的にも私生活でも孤立を深めた彼は、停戦調停のためコンゴへ発つ。それが人生で最も危険な旅となることをまだ知らずに─。
スペイン
47系統
El47 / The 47

5/18 ㈪ 16:30
5/21 ㈭ 14:15
監督:マルセル・バレナ/2024/スペイン/110分/日本語字幕のみ
一人のバス運転手の行動が、一つの街の運命を変えた─1970年代のスペイン郊外で起きた実話をベースにした感動のヒューマンドラマ!
1978年のバルセロナ郊外トレ・バロ地区。地元住民で市営バス運転手のマノロ・ビタルは、バルセロナ郊外で貧困に苦しむ移民コミュニティが蔑ろにされていることに憤慨し、47番路線のバスをバスジャックする。その目的はトレ・バロ地区はバスが運行不可能だという政府の嘘を暴くためであった。実際に1950〜1970年代ごろまで脆弱なインフラと共に生活していた、スペイン郊外の移民たちの暮らしぶりをリアルに描いた社会派ヒューマンドラマ。
スロヴァキア
大丈夫と約束して
Hore je nebo, v doline som ja / Promise, I'll Be Fine

5/18 ㈪ 12:00
5/20 ㈬ 18:45
監督:カタリナ・グラマトヴァ/2024/スロヴァキア、チェコ/93分/日英字幕
ドキュメンタリータッチの鮮烈な映像でスロバキアの少年たちの青春を写し取ったスロヴァキア新星監督による秀作
母親の仕事の都合でおばあちゃんの家に預けられたティーンエイジャー、エンリケ。山間の静かな田園地帯を仲間たちとモペッドで爆走し、短い夏を謳歌している。なかなか都会へ呼び戻してくれない母を訝しく思ったエンリケが、その秘密のビジネスを知った時、彼が取る選択は─。山村ウテカのノン・アクター住民たちによる瑞々しい演技を引き出し、現代スロヴァキアのリアリティを美しい映像で活写。東京国際映画祭で話題を呼んだ新鋭カタリナ・グラマトヴァ監督デビュー作。
スロヴェニア
ファミリー・セラピー
Odrešitev za začetnike / Family Therapy

5/23 ㈯ 18:45
5/26 ㈫ 16:30
日本初公開
監督:ソニア・プロセンツ/2024/スロヴェニア/122分/日英字幕
完璧だったはずのエリート家族が辿るのは、奇妙で痛快な崩壊の一路?
オリビア、アレクサンダーの夫婦と、娘のアガタ。一見裕福で完璧に見える3人家族の元へある日、謎の青年ジュリアンがやって来る。彼が家族に溶け込むにつれ、エリート家族の彼らの暮らしには次第に亀裂が生じ、機能不全に陥った家族内の人間関係が明らかになっていく。ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の『テオレマ』(1968)に着想を得て制作され、社会批判をユーモアたっぷりに交えた予測不能なストーリー展開が畳み掛ける、型破りなブラック・ファミリー・コメディ。2024年トライベッカ映画祭コンペティション部門選出作品。
チェコ
夜に現れた女
Přišla v noci / She Came at Night

5/23 ㈯ 16:30
5/26 ㈫ 18:45
日本初公開
監督:トマーシュ・パヴリーチェク、ヤン・ヴェイナル/2023/チェコ/85分/日英字幕
一つ屋根の下で始まるのは、家族の愛か、それとも悪夢か
30代の夫婦・イルカとアネタはある日、イルカの60代の母ヴァレリアを自宅に迎え入れる─それが地獄の始まりになるとも知らずに。上品ながらも強気な彼女は、次第に生活空間だけでなく夫婦の心の領域にまで踏み込み、2人のプライバシーを侵していく…。親の善意は本当に正しいのか。一番身近な母親こそが、実はもっとも恐ろしく不穏な存在なのかもしれない。誰もが経験しうる家族との距離を、ブラックユーモアとホラーの狭間で巧みに描き出すチェコ発スリラー。
ドイツ
不屈の女たち─旧東ドイツ編
Die Unbeugsamen 2 - Guten Morgen, ihr Schönen

5/24 ㈰ 14:15
5/28 ㈭ 18:45
日本初公開
監督:トルステン・ケルナー/2024/ドイツ/104分/日本語字幕のみ
歴史の隙間に響く、東独の不屈の女性たちの声
旧東ドイツに生きた12人の女性たちを追うドキュメンタリー。芸術家や工場労働者らの証言は、解放と平等を掲げた国家の理念と現実の隔たりを浮かび上がらせる。1950年に「母子保護及び婦人権利法」により男女平等がうたわれ、女性の就業や保育制度が拡充された一方、専門職への道は限られ、家事や育児の負担は女性に偏っていた。中絶をめぐる法制度も含め、進歩と制約が交錯する社会のなかで語られる複雑な思いは、現代にも通じる問いを投げかける。西ドイツの女性政治家を描き、20万以上の観客を動員した前作(『フェモクラシー 不屈の女たち』 *EUフィルムデーズ2023にて上映)に続く第2章。
ハンガリー
ライオンにいてほしい
Kell egy oroszlán /We Need a Lion

5/24 ㈰ 16:30
5/26 ㈫ 12:00
監督:ヴィシュキ・アーベル/2024/ハンガリー/68分/日本語字幕のみ
心に小さなライオンを携えて─絵本『ラチとらいおん』が結ぶ人々の輪と、こどもたちとともに紡ぐ物語
ハンガリーの児童文学を代表する作家、マレーク・ベロニカ。代表作『ラチとらいおん』は半世紀以上にわたり、ハンガリーと日本を結ぶ特別な架け橋となってきた。1965 年の初版刊行以来、日本では累計70万部超を記録し、今も新たな装いで読み継がれている。彼女の物語は、なぜ国境を越えて愛され続けるのか─。作家本人や子どもたちのまなざしに導かれながら、勇気とともに恐れに向き合い、遊びと想像力によって世界へ踏み出していく、その普遍的な価値をたどるドキュメンタリーの旅。
フィンランド
消えない光
Jossain on valo joka ei sammu / A Light That Never Goes Out

5/16 ㈯ 14:15
5/19 ㈫ 16:30
監督:ラウリ=マッティ・パルッペイ/2025/フィンランド/108分/日英字幕
トラウマを抱えたフルート奏者と自由奔放なエクスペリメンタル・ミュージシャン――正反対の2人が奏でる、全く新しいミュージック!
幼い頃から将来を嘱望されてきたフルート奏者パウリはその重圧からメンタルを病み、療養のために故郷へと戻ってきた。楽器を演奏できなくなった失望感に苛まれる彼は、ある日、旧友のイリスと再会する。独りで実験音楽を作るイリスは、一緒に音楽を作ろうとパウリを誘う。完璧を求めてミスを恐れて生きてきたパウリは彼女のエネルギーに魅了され、奇妙なセッションを続ける中で、リラックスして音楽を楽しむ自分に気づく。しかしあるコンサートをきっかけに過去の重圧が再び押し寄せ、自分の未来と友情を見つめ直すことになる。2025年カンヌ国際映画祭ACID部門上映作品。
フランス
ジムの物語
Le Roman de Jim / Jim's Story

5/17 ㈰ 14:15
5/20 ㈬ 16:30
監督:アルノー&ジャン=マリー・ラリユー/2024/フランス/101分/日本語字幕のみ
運命に翻弄されながらも誠実な愛を貫く現代的な家族の物語
ジュラ山脈に囲まれ街サン・クロードで、心優しい青年エメリックはかつての仕事仲間フロランスと再会する。妊娠6カ月のフロランスと暮らすようになったエメリックは、生まれてきたジムを自分の子のように育て、2人の間には強い絆が生まれる。しかし、ある日2人の前に実の父親クリストフが現れる。それはメロドラマの始まり、そして父親としての放浪と冒オデッセイ険の旅の始まりであった。2024年カンヌ・プレミア部門出品作品。主演のカリム・レクルは第50回セザール賞最優秀主演男優賞を受賞。
ブルガリア
罠 ドナウ川の守り人
KЛOПKA / The Trap

5/19 ㈫ 12:00
5/22 ㈮ 18:45
日本初公開
監督:ナデジダ・コセヴァ/2024/ブルガリア/95分/日英字幕
飽くなき人間の欲望に対して、孤独な男と動物たちが静かに警鐘を鳴らす─ブルガリア発のエコ・スリラー!
ドナウの牧歌的な川岸で小さな私設動物園を営む、元炭鉱夫のヨヴォ。自然を愛し、動物たちと共に静かに暮らす彼だったが、市長と警察署長の支援を得た地元の有力者が企てる、危険な核廃棄物貯蔵プロジェクトの存在によって、その生活は大きく揺らぎ始める。利権に揺れる住民たち、権力に迎合する地元有力者、共産主義/ポスト共産主義世代間の対立─小さなコミュニティでうごめく様々な人間の欲望が静謐かつスリリングに描き出され、現代社会に潜む暴力性に警鐘を鳴らす野心作。
ベルギー
芸術家、ただいま迷走中
L'art d'être heureux / The Art of Nothing

5/24 ㈰ 18:45
5/27 ㈬ 14:15
日本初公開
監督:ステファン・リベルスキ/2024/ベルギー、フランス/110分/日英字幕
名声と愛を夢見る“こじらせ”芸術家の、愉快でほろ苦い人生漂流記
度重なる挫折で行き詰まったコンセプチュアル・アーティスト、ジャン=イヴ・マションは、教師の職を離れ、ブリュッセルから印象派の象徴ともいえるフランス・ノルマンディーの海辺の街、エトルタへ移り住む。世紀の最高傑作を生み出すはずが、肝心の描きたいものは見えてこない。享楽的な具象画家や人心を操る画廊主との出会いに翻弄され、計画は揺らいでいく。個性豊かな人々との交流は、無気力に沈んだ彼を創作へと導くはずだった…。だが現実は、そう甘くはない。
ポーランド
ショパン、ショパン!
Chopin, Chopin! / Chopin, a Sonata in Paris

5/25 ㈪ 12:00
5/27 ㈬ 18:45
監督:ミハウ・クフィエチンスキ/2025/ポーランド/133分/日英字幕
パリに響くソナタ。若きショパンの光と影
1835年、パリ。若き作曲家フレデリック・ショパンは、サロンや社交界で脚光を浴びながら、演奏会やピアノ指導で生計を立てていた。華やかな夜や恋愛、芸術家たちとの交流のなかで名声は広がっていく。だがその裏で、病の影が静かに忍び寄り、限られた時間への焦燥が彼の生き方と音楽に変化をもたらす。社交界の期待や虚飾に応えるのではなく、自らが本当に追い求める音楽とは─。ロマン主義の都パリを舞台に、天才作曲家の情熱と葛藤を描く伝記ドラマ。
ポルトガル
Fuck the Polis

5/16 ㈯ 16:30
5/19 ㈫ 18:45
日本初公開
監督:リタ・アゼヴェード・ゴメス/2025/ポルトガル/74分/日英字幕
数多くの映画祭受賞歴を持つ現代ポルトガルを代表する映画作家による、古代ギリシャへの愛の手紙
N.W.A.によるプロテスト・ソング“Fuck Tha Police”の題名をもじった強烈なタイトルとは対照的に、本作は古代ギリシャのポリスへの深い愛情と敬意に満ちた、静謐で詩的な作品である。20年前に不治の病を宣告された後、ギリシャを旅したイルマが再びギリシャを訪れる─。監督自身の個人的体験も投影された本作は、観客を文学的な体験としてエーゲ海の島々へと誘う。2025年FIDマルセイユ国際映画祭国際コンペティション部門における最優秀賞受賞作。
マルタ
シムシャー
Simshar

5/24 ㈰ 12:00
5/27 ㈬ 16:30
日本初公開
監督:レベッカ・クレモナ/2014/マルタ/101分/日英字幕
波の彼方に投げ出された小さな命と、分断への問い
幼いテオは、マルタの船乗りの家族とともにシムシャー号で初めての航海に出るが、漁船は沈没し、乗組員たちは地中海に取り残される。同じ海域では、アフリカからの移民を救助した商船に派遣された医療従事者のアレックスが、受け入れをめぐる各国の判断のはざまで立ち往生していた。やがて2つの出来事は交錯し、極限の漂流の果てに取り返しのつかない喪失と、ただ1人の生還が浮かび上がる。実話をもとに、海を越えて揺れる命と境界を描きながら、移民をめぐる分断へと問いを投げかける。アカデミー賞外国語映画賞選出作品。
ラトビア
マリアの沈黙
Marijas klusums / Maria's Silence

5/18 ㈪ 18:45
5/22 ㈮ 14:15
日本初公開
監督:ダーヴィス・スィーマニス/2024/ラトビア/104分/日英字幕
声なき抵抗─実在の女優マリア・レイコが見た暗黒の時代
実在したラトビア出身の無声映画時代の女優、マリア・レイコの人生を描く。1930年代、ドイツで女優としてのキャリアを築き、孫娘の誕生の知らせを受けてモスクワに渡ったマリアは、そこでソ連の全体主義と直面する。スターとしての栄光と家族への愛、スターリニズムの恐怖が彼女を翻弄する中、マリアは声を上げず“ 沈黙”を選び続ける。やがて体制の圧力の前に立たされた時、彼女の選択がもたらした帰結とは─。時代の恐怖と個人の尊厳のせめぎ合いを、静謐なモノクロ映像で描き出したヒューマンドラマ。2024年ベルリン映画祭フォーラム部門出品作。
リトアニア
夏の終わりの訪問者
Svečias / The Visitor

5/23 ㈯ 14:15
日本初公開
監督:ヴィータウタス・カトゥクス/2025/リトアニア/111分/日本語字幕のみ
過去を捨て去れない父親の、つかの間の故郷再訪─オフビートに描かれる人生の宙吊り期間
8月の終わり。30代半ばのダニエリュスは実家のマンションを売却するため、妻と息子をノルウェーの家に残し、一人リトアニアのリゾート地にある故郷の街に戻る。滞在中の住民との交流にもかつてほどの温かさは感じられないが、置き去りにしてきた過去を捨てきれない彼は、なかなかそこを去ろうとしない─。行き先の定まらない人生のひとときを、独特のカメラワークとオフビートなタッチで映し出す。監督は『トクシック』(EUフィルムデーズ2024にて上映)の撮影監督ヴィータウタス・カトゥクス。2025年カルロ・ヴィヴァリ映画祭最優秀監督賞受賞作。
ルーマニア
世界の果てまで3キロ
Trei kilometri până la sfârșitul lumii / 3 kilometers to the end of the world

5/23 ㈯ 12:00
5/25 ㈪ 18:45
日本初公開
監督:エマニュエル・パルヴ/2024/ルーマニア/105分/日英字幕
青年への悲痛な暴力事件を引き金に、明らかになっていく村の現実
17歳の青年アディはドナウ川沿いの故郷の村で夏休みを過ごしていたが、ある夜路上で地元の少年2人組に襲われ、全身を激しく殴打される暴力事件に遭う。保守的な価値観の村の住民たちに加え、彼を溺愛していた両親までもが、事件の捜査が進むにつれアディのことを以前とは違った目で見つめ始め、平穏を装っていた村のコミュニティは次第に崩れ始める─。事件を引き金に次第に明らかになる人間模様の機微を、緊迫感の張り詰めるリアリズムタッチの映像で描き出す。2024年カンヌ国際映画祭クィア・パルム受賞作。
ルクセンブルク
あなたを偲ぶ旅
Marianengraben / The Mariana Trench

5/17 ㈰ 16:30
5/20 ㈬ 12:00
日本初公開
監督:アイリーン・バーン/2024/ルクセンブルク/82分/日英字幕
弟を亡くしたパウラが出会ったのは、妻を亡くした風変わりな老人ヘルムート─喪失の痛みを抱えた2人の哀しくも可笑しいヒーリング・ロードムービー
幼い弟ティムを海で失って以来、生きる意欲を失っていたパウラは、ある晩、妻の遺灰を南チロルへ運ぼうとする風変わりな老人ヘルムートと墓地で出会う。パウラはティムの誕生日に合わせてトリエステへ向かうため、ヘルムートの逃避行につき合う羽目になってしまう。旅の道連れになった2人の間には、次第に予期せぬ友情が芽生え始め─。喪失のトラウマを抱えた心の旅路を、切ないユーモアを散りばめて描いた感動作。






