短編プログラム─1
環境と共生
上映日程:5/19(月)12:15 / 5/22(木)10:00
上映日程
5/19(月)12:15
5/22(木)10:00
5/19(月)12:15
5/22(木)10:00
人気のない風景や時に神秘的な動物たち。私たち人間の周囲には、目を凝らせば不思議な物事が溢れている。人間のいなくなった世界をモノクロのイラストで象徴的に描いた『大地の香り』、イルカの幻想的な宇宙飛行を描いたCGアニメーション『ブルームーン』や、馬と少年の視点から人間と自然との共生について考察する『ガラーノ(野馬)』など、いずれも人間を取り巻く環境や生き物との繋がりを詩的に描いた作品群。
ポーランド

大地の香り
Smell of the Ground
監督:オリビア・ローザ/2023/ポーランド/8分
崩壊する世界の中でも、自然は静かに存在し続けている――
人間の存在が消えた世界で、無人のカフェや空っぽの駐車場が迫り来る終末の兆しを示している。しかし、この無機質な世界でも生命はわずかに息づいていた。サラ・ティーズデールの1918年の詩「There Will Come Soft Rains」にインスパイアされ作られた本作は、人新世の終わりと新たな時代の始まりを探求する。
マルタ

サムウェア
Somewhere
監督:ファブリツィオ・エッルール/2023/マルタ/7分
人類が去った後、地球に残っていたのは――「記憶」と「喪失」をめぐるSFアニメーション
戦争、パンデミック、気候変動の加速により、人類は地球の大気圏外にある巨大な構造物「キューボイド」に避難することを余儀なくされていた。ヘイロー宇宙研究センターの研究員であるヴィンセントが、あるアイテムを回収するために地球へ立ち寄る。かつては活気に満ちていた地球も今では変わり果てた姿となっていたが、そこには人類の存在の痕跡が囁いていた。
リトアニア

ブルームーン
Blue Moon
監督:ヴィータウタス・カズラウスカス/2021/リトアニア/8分
幻想的なCGアニメーションで描く、イルカのスペースジャーニー
宇宙空間を泳ぐように進んでいく二匹のクジラ。彼らはどこからきてどこへ向かうのか? そしてその生涯は、意外にも人間と似ているのかもしれない――。VFXアーティストとしても作品制作を行っている作者による、幻想的でフューチャリスティックなCGアニメーション短編。
ポルトガル

ガラーノ(野馬)
Garrano
監督:ダヴィッド・ドウテル、ヴァスコ・サ/2022/ポルトガル/14分
ポルトガルの森を舞台に、抑えることのできない燃えさかる炎のような“生”への衝動を描く緊張と弛緩に満ちた物語
炎天下で重い荷を引くガラーノ種の馬と、森に火を放とうとする侵入者の男を目撃した少年ジョエルの視点が交錯する。日々の労働の重圧で父と対立する過酷な現実を前に、ジョエルがとった行動とは――?油絵とデジタルが融合した鮮烈なビジュアルによって、驚くほどの没入感をもって、人と自然の荒々しく野性的な“生”を描く。
スロヴァキア

あっちこっち
Criss Cross
監督:ニナ・リバーロヴァー、トマーシュ・リバール/2023/スロヴァキア/8分
困った時の友こそ真の友! 斬新なクロスステッチ・アニメーションで描く、友情と信頼の物語
ヤギはある日困っていた小さな鳥を助け、その間には絆が生まれる。しかし、元気になった鳥はヤギの元を去ってしまう……。「困った時の友こそ真の友達」とは本当なのか? 民話にインスパイアされ、クロスステッチ×ゲームタッチのアニメーションという斬新なスタイルで、友情と信頼という万国普遍のテーマを描く。
クロアチア

蝶
Butterfly
監督:スンチャナ・ブルクリュ/2024/クロアチア/8分
カラフルな庭園にやってきた――一匹の蝶が起こすハプニング!
庭園で生活しているさまざまな生き物たちのコミュニティ。その庭園の中心には噴水があり、生き物たちはみなそこから湧き出る水を使い生活していた。そこへ一匹の蝶がやってきて、噴水を詰まらせてしまう。それまでの生活はストップし、初めて直面する状況に困った動物たちは大混乱。さあどうする!
イタリア

セイレーンの声
The Voice of the Sirens
監督:ジャンルイジ・トッカフォンド/2024/フランス、イタリア/20分
未知なる世界へ誘うこの声は――ビビッドで神秘的な水中世界への旅
深い海の底、岩と珊瑚の間では海藻がさざ波を立て、辺りはうねる潮流の音に包まれている。そこへ響き渡る不思議な声と共に現れた人魚。やがて水面へと向かっていくが、その先で目にしたものとは――。ビビットな水彩画と幻想的な音楽が、未知の水中世界へと見るものを誘う没入型アニメーション。
短編プログラム─2
感情と絆
上映日程:5/12(月)10:00 / 5/14(水)11:50
上映日程
5/12(月)10:00
5/14(水)11:50
5/12(月)10:00
5/14(水)11:50
孤独、愛、希望――日々私たちの心に湧き上がる感情は果たしてどのように生まれ、どのように他者に伝わるのか? 断崖の家で氷を売り暮らす親子の絆を温かいタッチで描く『氷商人』、ある日交通事故を起こしてしまった女性の切迫した心理を描くスリラーアニメーション『グッド・インテンション』など、いずれの物語も登場人物の心情に深くフォーカスし、人と人とを繋ぐ心の絆について描くアニメーション7作品。
スウェーデン

ブドウ
Budo
監督:アレクサンデル・トマ、アマンダ・オーガルド/2024/スウェーデン/15分
孤独な女性と迷い猫の「ブドウ」――東京を舞台にしたユーモラスなストップモーション・アニメーション!
夫に先立たれ、一人孤独に東京の小さなアパートに暮らしているおばあさん。いつものようにスーパーマーケットへ向かう途中、迷子の猫と出会う。「ブドウ」と名付けられたその猫はすぐにアパートに馴染むが、次第にその様子に変化が起きてきて――?東京の片隅を舞台にした、ユーモラスで心温まるストップモーション・アニメーション。
デンマーク

カウボーイ・ケヴィン
Cowboy Kevin
監督:アンナ・ルン・コンネルプ/2022/デンマーク/6分
気まぐれで愉快な珍道中! カウボーイと馬が愛をめぐる冒険に繰り出す
西部開拓時代の夕暮れ時、穏やかで素朴なカウボーイのケヴィンと親友の馬はキャンプファイヤーのそばに座っている。やがてケヴィンと馬は、ケヴィンにラブレターを書いた謎の女性を探すため、アメリカ横断の旅に出る。ケヴィンはロマンスへの期待に胸を膨らませながら目的地に到着するが、待っていた現実は彼の想像とは違っていた――?愛と夢の間にあるほろ苦い現実を描いた、デンマーク発のチャーミングなアニメーション。
ルーマニア

ABIFF
ABIFF
監督:ヴァレンティン・ウルジセアヌ/2025/ルーマニア/5分
言語を超えて共有する社会への問い
ラジコンヘリを飛ばして遊んでいた少年は、ある事情で近所に引っ越してきた少女と出会う。少年は色々な国の国旗の入ったサッカーボールを持ち出し、木の上の猫に向かって吠える犬をしつけようとするも、そこへ少女がやってきて……?見る人の想像力を掻き立て、言語を超えて共存への道を探求する作品。
ブルガリア

ある夫婦のポートレイト
Family Portrait of the Black Earth
監督:イヴァン・ポポフ・ザエカ/2024/ブルガリア/10分
愛する妻を元気付けるため――夫婦の絆を描いたハートフルなアニメーション
妻は乳がんの手術後、片方の乳房を失ってしまったことを気にしている。夫は妻を元気付けるべく、乳房の代用品を探しに奔走するが、どれもなかなか気に入ってもらえない。そこへ事態を知った街の住人たちがやってきて――?独特のコメディタッチで夫婦の絆を描いた、ブルガリア発のハートフルなアニメーション。
キプロス

オウムの彼女
The Parrot Lady
監督:ミハリス・カロぺディス/2020/キプロス/7分
人が都市の中で潜在的に抱える孤独への考察
自分の家があるにもかかわらず、3羽の愛するオウムを連れて路上で暮らすことを選んだ老女の物語。語り手は海辺の街を彷徨う彼女を観察し、なぜ路上生活を選んだのかと尋ねる。彼女は一体何を思い、何を恐れていたのか――?実話をもとに独特のタッチで表現されるアニメーションは、観る人に孤独とは何かを問いかける。
スウェーデン

グッド・インテンション
Good Intentions
監督:アンナ・マンツァリス/2018/スウェーデン/8分
全てはあの事故の日から始まった――スウェーデン発のナイトメアアニメーション!
ある日交通事故を起こしてしまった女性。誰にも目撃されずその場から逃げるも、その後も事故のことを考えずにはいられない。相手のドライバーはどうなったのだろう?日常の中でさまざまな幻覚が彼女を襲い、次第に不可解な出来事も起こり始めて…。
ポルトガル

氷商人
Ice Merchants
監督:ジョアン・ゴンザレス/2022/ポルトガル/14分
断崖に暮らす氷売りの親子 パラシュートで飛び降り向かう先には―
断崖に建てられた極寒の家で暮らしている父と息子。彼らは毎日、はるか遠くの地上へパラシュートで飛び降り、毎日作っている氷を売りに行く。すべてが崩れそうになった時、彼らを生に繋ぎとめるものとは――?日本画を彷彿とさせるタッチのイラストレーションで心温まる親子の絆を描き、カンヌ国際映画祭2022批評家週間審査員賞を受賞。
短編プログラム─3
日常とうつろい
上映日程:5/9(金)11:50 / 5/13(火)10:00
上映日程
5/9(金)11:50
5/13(火)10:00
5/9(金)11:50
5/13(火)10:00
時代や季節の移ろい、何気ない日常の中、予期せずに起こる変化。人はそれらを受け入れ、そして時に抗いながら生きている。家族旅行中に起こるハプニングをチャーミングなアニメーションで描いた『ハロー・サマー』、ソ連崩壊後のリトアニアに生き日常的者の揺れ動く心情を詩的に描いた『ルーツ』など、日々変化する時代の価値観や環境、周囲との関係性の中、試行錯誤しながら生きるキャラクターの姿を描いた作品群を紹介。
スロヴァキア

ハロー・サマー
Hello Summer
監督:マルティン・スマタナ/2024/スロヴァキア/11分
夢のような夏休み…のはずだったのに! 家族におこる旅先のハプニング!
夏だ! 家族は夢の目的地へ胸を躍らせて出発する。しかし空港に到着した途端、何かがうまくいかなくなり始めていた……。手描きのイラストとストップモーションを組み合わせたポップなアニメーションが、家族の夏の珍道中に観客を誘う! 旅の最後に彼らが見つけた、本当に大切なものとは一体?
キプロス

竜巻
The Tornado Outside
監督:マリア・トマズ/2023/キプロス/8分
安全な家の外には竜巻が! 日常と混沌についての詩的なアニメーション
アンナの家は一見、とても暮らしやすそうで完璧に見える。しかし一度扉を開けると、広がるのは宇宙空間! しかもそこでは、あらゆる物を巻き込んだ竜巻が轟々と渦巻いていた。家の鍵が風で飛ばされてしまい、取り戻しに行く途中でアンナは、長年避け続けてきた家の外のカオスと向き合うことになる――。
リトアニア

ルーツ
Roots
監督:ヨナス・ユシュカイティス/2021/リトアニア/4分
歴史の狭間で揺れ動く、リトアニアのティーンエイジャーたちのアイデンティティ
独立回復後のリトアニアに生きてきた10代の若者たち。髪型や建物などにまつわる自らのエピソードを通して、自己と周囲の環境との間で揺れ動く感情を繊細に描く。インクによる手描きと写真コラージュで描かれる彼らの物語は、ソ連崩壊後の国で育つことの困難さや新たな世代としての希望が織り混ぜられている。
ポルトガル

ペルセべス
Percebes
監督:アレシャンドラ・ラミーレス、ラウラ・ゴンサルヴェス/2024/ポルトガル/11分
爪のような不思議な生物を起点に浮かび上がる、ポルトガルの海辺の人々と都市
ポルトガルの夏の風物詩である、ペルセべ(カメノテの一種。動詞で〈理解する〉という意味ももつ)。海で生きるペルセべ、それを獲る漁師、市場の商人、レストランの従業員の語りから、ペルセべのライフサイクルを巡って段々と街の生活が見えてくる。街の人々の実際の声が登場するドキュメンタリー・アニメーション。
キプロス

春の儀式
Rites of Spring
監督:ヨルゴス・チャンガリス/2021/キプロス/4分
キプロスの田舎を舞台にした、神秘的で実験的なアニメーション
物語の舞台はかつてのキプロスの田舎。そこではギリシャ教正教の伝統と、放浪する劇団の価値観とが衝突していた。2000年にコスティス・コロタスが発表した「未完の小説」にインスパイアされ、版画をベースにしたアブストラクトなイラストレーションによって、過去の美しい世界のイメージを鮮烈に描き出した実験的なアニメーション作品。
ラトビア

フリーライド・イン・C
Freeride in C
監督:エドムンズ・ヤンソンス /2024 /ラトビア/10分
テリー・ライリーの音楽に合わせた、リズミカルなスキーアニメーション!
スキーリゾートに続々と現れるスキーヤーたち。見る見るうちに真っ白な雪の山の斜面は、彼らのカラフルなウェアで彩られていく。テリー・ライリーの曲「In C」の反復するビートに合わせるように、スキーヤーたちが各々のスタイルで滑っていく様子が楽しいアニメーション。ラトビア生まれのアニメーション作家であり、児童向け絵本のイラストレーターとしても知られるエドモンズ・ヤンソンスによる最新作。
オランダ

フラタスティック
Flatastic
監督:アリス・セイ/2024/オランダ/17分
マンタの逆襲! 新たなる「フラット」な時代が迫り来る――
高層ビルやネット広告に囲まれ、セルフィーを撮る人々。近未来の地球で人々の暮らしは便利になる一方、海の底はプラスチックの廃棄物にまみれていた。そんな状況に耐えかねたマンタたちが、地球を取り戻すべく人間たちに立ち向かう! 果たしてその決着は?
短編プログラム─4
記憶と歴史
上映日程:5/18(日)12:15 / 5/21(水)10:00
上映日程
5/18(日)12:15
5/21(水)10:00
5/18(日)12:15
5/21(水)10:00
植民地支配や社会的圧力、人間の積み重ねてきた歴史は、いかにして個人のアイデンティティを形作るのか―。コンゴの植民地時代を舞台にした異色の人形アニメーションで、各国の映画祭で絶賛を浴びた『この素晴らしきケーキ!』、1960年代に電気が普及したアイルランドの農村を舞台にした幻想的なアニメーション『ワイヤーメン』など、各国の歴史とそこに生きた人々を現代にリンクさせて描いた3作品を上映。
ブルガリア

芸術家の娘
The Artist's Daughter
監督:ディミタル・ディミトロフ/2023/ブルガリア/12分
AIの生成画像からインスピレーションを得て創作されたブルガリア発の不条理劇
1936年に書かれたダニエル・ハームスの小説「父と娘」に着想を得た物語。芸術家の父と幼い娘の日々が描かれていくが、やがて彼らは死を迎え不思議な形で蘇る。その死すらも次第に重みを失い、一連が単なる“遊び”のようにも見えてくる――。AIの生成画像にヒントを得てフレームを描くという独特の手法に挑戦した異色作。
アイルランド

ワイヤーメン
Wiremen
監督:ジェシカ・パターソン/2018/アイルランド/9分
街に電気がやってきた! ワイヤーメンの正体とは?
1960年代のアイルランドの田舎町。幼い娘ロージーは、家に新たに導入された電気のことを、舞い込んできた妖精だと信じている。彼女の好奇心が高まる中、祖母は「ワイヤーメン」と呼ばれる謎めいた存在について警告する。彼らはこの新しい電気を守る番人なのだという。ロージーは選択を迫られる―。祖母の忠告に従うのか、それとも「光」の魅惑を採るのか? 作者の父の実体験に基づき、1960年代当時のアイルランドの農村部を寓話的に描いたアニメーション短編。
ベルギー

この素晴らしきケーキ!
This Magnificent Cake!
監督:マーク・ジェームス・ロエルズ、エマ・ドゥ・スワーフ/2018/ベルギー/44分
異色のストップモーション・人形アニメーションが織りなす、アフリカ植民地時代を舞台にした不条理のアンソロジー
ベルギー国王レオポルドはアフリカをケーキに見立て、自身の取り分として1885年にコンゴを植民地化した――。欲深い王様、高級ホテルで働く原住民、遠征に失敗したビジネスマン、彷徨う荷配人、若い脱走兵ら5人を描いた物語。作者は無法地帯で突然支配者と化した入植者のふるまいを探求し、あえてコメディ・シュールさを交えて表現することで、人間がもつ残酷さをリアルに映し出す。カンヌ国際映画祭での公開を皮切りに、世界四大アニメーション映画祭の一つであるオタワ国際アニメーション映画祭の長編部門グランプリ受賞など、世界を席巻する作品。
短編プログラム─5
欲望と秘密
上映日程:5/10(土)10:00 / 5/13(火)11:50
上映日程
5/10(土)10:00
5/13(火)11:50
5/10(土)10:00
5/13(火)11:50
時に身近な人との間においても起こるすれ違いや感情の隔たり。隣にいるあなたの心の内では果たして、一体何が起こっているのだろう――。秘密を重ねる夫婦をシニカルかつユーモアたっぷりに描いた『オオカミ谷のトーマス』、秘めた恋心を胸にギリシャの港町を彷徨う猫を主人公にした『キャット・ポスタール』、修道女のコミュニティで起こる人間関係の機微を描く『修道女は見た!』など、心の内側に隠された欲望や秘密をテーマにした、アニメーション7作品。
オーストリア

タコツボ
Tako-Tsubo
監督:エヴァ・ペドロサ、ファニー・ソルゴ/2024/オーストリア/6分
心臓を取り除けば、きっとこの不安から解放されるはず―
物思いにふける癖があるハム氏は、心臓を摘出することを決意する。これできっと、孤独や不安、複雑な感情から解放されるだろう―。ハム氏は自分の心をより理解するために、手術後も心臓を手元に残しておくことにする。ベルリン国際映画祭2024最優秀短編賞ノミネート作品。
ギリシャ

キャット・ポスタール
Cat Postale
監督:ザカリアス・マヴロイディス/2022/ギリシャ/9分
かつて会ったあの男性を探しに――野良猫シャンタルのノスタルジックな冒険
思春期を迎えつつある野良猫のシャンタル。観光シーズンが終わりに近づくとともに、彼女の故郷はゴーストタウンのように寂れた風景へと変わっていく。仲間の猫たちとともに、彼女はその小さな島を巡る旅に出る。目的は、アクアレルという風変わりな男性を探すこと。彼こそが自分と一緒になるべき存在だと信じているのだ。思春期という誰にでも訪れる道程に直面する瞬間を映し出した、ギリシャ発のノスタルジックなアニメーション。
ポーランド

羊に誘われて
Sheep Out
監督:ゾフィア・クラムカ/2023/ポーランド/8分
退屈な日々から抜け出そう――あの謎の羊の正体は?
家と仕事場を行き来するだけの日々を過ごしているアニメーターの女性。単調な暮らしの中、ある日彼女は羊の写真を見つける。すると次々と身の回りに不思議な出来事が起こり始め、退屈だった生活は一変してしまう。村上春樹の『羊をめぐる冒険』にインスパイアされ、キャッチーなイラストと音楽で、日常の外側へ一歩踏み出すことを描いたアニメーション。
フィンランド

修道女は見た!
Nun or Never!
監督:ヘタ・ヤーリンオヤ/2023/フィンランド/11分
秘密と調和は共存できるか? 修道女たちの愉快な物語
ある修道院では、修道女たちが仲良く暮らしていた。しかし、あるひとりの修道女が庭の植物の中に隠れている男性を発見すると、その調和は崩れ、彼女は他の修道女たちとの協調性を失ってしまう。自分を当惑させる情熱との出会いと同時に、彼女は共同体の誰もがそれぞれの隠された世界を持っていることを知る。
スロヴェニア

ステーキを焼きながら
Steakhouse
監督:シュペラ・チャーデジュ/2021/スロヴェニア/9分
肉を焼くという行為を軸に進む、不健全な関係の崩壊におけるカタルシス
今日が誕生日のリザのために、家でステーキを焼くフランツ。しかし会社でサプライズパーティを用意されていたリザは、帰宅が遅くなってしまう。おいしそうに焼かれる肉と楽しげなパーティの描写から一転、ストーリーは思わぬ展開へ――。世界の映画祭で100以上受賞経験をもつ、シュペラ・チャーデジュによる作品。
アイルランド

トキ王の転落
The Fall of the Ibis King
監督:ミカイ・ジェロニモ、ジョシュ・オクウィーヴ/2021/アイルランド/10分
三角関係の残酷な崩壊。色鮮やかにアップデートされる現代版・古典悲劇
劇場では不穏なオペラの戯曲が上演され、垂直方向に広がる大きな舞台美術の中を登場人物が鳥のように動き回る。オペラの敵役は、かつての主演俳優の意外な復帰により不安定になっていく。ダン・レアリー美術学校での卒業制作として作られ、ヴェネチア国際映画祭でヨーロッパ映画賞へのノミネート経験も持つ新進気鋭の若手による一作。
エストニア

オオカミ谷のトーマス
Toomas Beneath the Valley of the Wild Wolves
監督:キンティス・ルンドグレン/2019/エストニア/18分
現代の不条理をコミカルに映し出す社会ドラマ。秘密を重ねた夫婦の愛の行く末は?
高給のエンジニアの職を失った若くセクシーなオオカミのトーマスは、家族を養うためにジゴロとして働くよう追い詰められる。第3子を妊娠中の妻ヴィヴィには秘密だが、彼女にもまた男性奴隷が参加する女性エンパワーメントセミナーに出席するという秘密があった――。秘密が積み重なった末、互いの愛と結婚は守られるだろうか。